かわす盃
つないだ球磨焼酎

球磨焼酎独特の酒器
ガラチョク


ガラ チョク

この球磨焼酎のふるさとでは35度、40度という強い濃い酒を球磨焼酎酒器「ガラ」というフラスコの胴に長い注ぎ口を付けたような酒器に入れ、五徳にかけ温めて飲みます。球磨焼酎酒器の猪口「チョク」は清酒の杯より小さく、口が開いていません。昔は、焼酎は枡(ます)で量って二合五勺が一盃と呼ばれていたので、「ガラ」には丁度「二合五勺」が入るように造られており、お湯を入れてもなお余裕があるくらいの容積をもっています。「ガラ」も「チョク」も有田焼の白色陶器が好まれ、有田でこれを焼くのは球磨地方への需要をみたすだけであるといいます。つまり、「ガラ」と「チョク」は、球磨人吉地方だけで使用されている酒器なのです。球磨の小形の猪口「チョク」は、強い焼酎の燗酒のにおいが鼻にツンとこないので具合が良く、猪口「チョク」に焼酎を注ぎやすいからでもありますが、このまま五徳にかけて焼酎を温めるのにも便利だからです。

ガラチョク写真|熊本県人吉市球磨郡米焼酎のトップブランド球磨焼酎酒造組合


 

球磨焼酎の風習


球磨人吉地方での酒席の習慣
 
焼酎を飲み始める時には、まず一番最初の一杯は決してそのまま口にもっていくことをしないで、
囲炉裏(いろり)の端で飲む場合は囲炉裏のすみに、座敷で飲む場合は床の間のすみに、
野外での酒盛の場合には座っている場所のどこか適当な所に、「必ず1滴だけ落として」から口にもっていくのが、球磨人吉地方での古い習慣でありました。
まず五神酒を土地神様にあげて、そのおすそわけをいただくという信仰のあらわれでしょう。

球磨焼酎の宴席での作法

 
現在は、アルコール分25度(戦時中に新設された)が主流で、そのお湯割り・水割り・オンザロック等での
飲まれ方が多くなっていますが、昔は30度〜33度位のものを直燗(じきかん)用のガラにいれて、
摂氏40度〜45度に燗をして出していました。
飲んでいる最中にぬるくなれば又、火にかけて温めました。
客人の要望で薄めることはあっても、最初から薄いものを出すのは恥とされ、それをやればケチとかバカにされたのです。
25度が主流の時代になっても、25度のまま燗をして飲まれてきましたが、ここ20年位前から薄めて飲むのが多くなりました。

球磨焼酎の盃(さかずき)

球磨焼酎の盃は、チョク(猪口)と呼び、独特の小さいものです。これで盛んに献酬を行います。
お流れ頂戴でさかずきを戴くのは勿論結構ですが、此所では目下、下手(したて)から目上、上手(うわて)の人に先に「さかずきをする」風習もあるのです。つまり、一種の貢物という意があったわけです。さかずきをして、相手が一杯飲み干したら、必ず「重ねて」ともう一杯注いで勧め、その後で返杯を戴くのが作法です。
ただし、お通夜、お葬式、結婚式等二度とあってはならないものの場合は、重ねてはならないとされています。
「さかずきをする」ときは両手を用いるか、右手の指に乗せて差し出します。
上手(うわて)が受けるときは指でつかんで取ってもかまいませんが、下手(したて)が受ける場合は決してつまんで取ってはならず、
「落としてください」の意味で右手を相手の手の下に出します。
差し出した方は拳を上に向けたまま、中指と薬指の間からチョクをコロッと落として渡します。
上手(うわて)からさかずきを差すときは、つまんで出してもかまいません。

 

宴席で伝わる座興
球磨拳

球磨拳(くまけん) 

「二人でやるじゃんけんの複雑なもの(出す拳が6種類)」球磨焼酎の宴会・飲み座でやる遊び。参勤交代の折、藩主相良家の江戸屋敷で家来衆がよくやったと言われ、家来衆の部屋が屋敷の北の部分にあったため、「北小屋拳」または「きたごや」とも言われています。
出す拳の種類は6種類で次のとおり、形も決まっています。

出す拳の種類
0 ... すべての指をにぎる (じゃんけんのグーの形)
1 ... 親指のみひらく
2 ... 親指と人差し指をひらく
3 ... 中指・薬指・小指をひらく(親指と人差し指で輪を作る、OKの形)
4 ... 親指のみ曲げてあと4本をひらく
5 ... すべてひらく (じゃんけんのパーの形)
6 ... すべての指をにぎる (0と同じ、じゃんけんのグーの形)

―方法―
2人が向かい合い、「ひい・ふう・さんの・・・」の掛け声で、同時に片手で拳を振り(一秒間に1〜2回)出し合った拳の指が1本多い場合のみ勝ちとなり、2回連続して勝ったときに、一勝負となります。勝ったものは拳駒を一本取り、負けたものはチョク(猪口)一杯の焼酎を必ず飲まねばなりません。球磨拳の時の焼酎は、「拳八分」といい、チョク八分目と定まっており、決してあふれる程ついではなりません。

 ◎  一つ目の勝ちの時に「イッチョ」又は「ヒトツ」、二つ目の勝ちの時に「ニイー」又は「フタツ」とかけ声をかけます。勝ちのない時にそのようなかけ声を出すと罰杯を飲まされます。二回連勝の時、次の拳を一切出さずやめて手を引き得れば勝ちを承認されます。 (勿論、時と場合では認められないこともあり、事前の打ち合わせによります。)

 ◎ 指の出し方を間違ったり、二度連続して勝ったのに自分で気がつかなかったりした場合も罰杯となります。 
 
 ◎ 別に検杯人がつくこともありますが、この時は指の出し方から駒の取り方、焼酎の飲み方まで一切検杯人の指示に従わなければなりません。

〜勝負方法の種類〜

「ギリ」

立て続けに連続して二本勝ったときに、一勝負とする方法を「ギリ」又は「ソク」と呼び、現在は殆どこの方法で行われます。

「チラシ」

古式の方法で、連続して二回勝つものを条件とせず、勝ちを貯めておき一度勝ったあとに勝負無しの拳があっても、相手が勝ってもよく、早く二本目の勝ちを取ったほうが勝ちとなる方法ですが、現在一部を除き殆ど行われていません。最初の二振りで勝った場合、二点もらえます。十拳の場合、最後の一本は「ギリ」で行います。

〜試合方法の種類〜

「十拳」 

拳駒十本でおこない、双方の駒の取り数で勝負をつけます。

「相撲」

拳駒三本でおこない、そのうち二本を取った方が勝ちです。

「三本とりはぎ」

拳駒三本でおこない、片方が三本とも取ってしまうまでおこないます。中央の残り一本を取るとき、相手が駒を持っていれば、その一本を中央に出さねばなりません。

「個人戦」 

上記の三種があり、普通十拳で行います。

「団体戦」

普通、五人ずつの双方の選手が、相手の五人と十拳で総当たりし、チームの総得点で争います。 (総計250点となります)
       

 

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